利用制限の米兵裁判権放棄文書、照屋寛徳衆院議員が閲覧し公開

すでに沖縄タイムス琉球新報で報じられているが、国会図書館が利用制限を行った米兵裁判権放棄に関する文書について、社民党衆議院議員照屋寛徳氏が国会図書館に閲覧を申し入れたところ、許可された。照屋氏は9月10日に国会図書館に出向き全文をメモし、自らのHPにて9月12日付で公開している。

照屋氏のサイトによると、ジャーナリストの斎藤貴男氏が閲覧を申し入れて拒否された8月21日の翌22日、閲覧を申し入れたところ許可されたという。ただしコピーや貸し出しは不可とされ、パソコンに秘書が入力したそうだ。


照屋氏のサイトで公開されているのは、米軍関係者らの刑事裁判権について解説した、法務省刑事局、1972年作成の、「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」。

関連して法務省刑事局から検察関係者にあてた通達が参照できるようになっていて、「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定第17条の改正について」(昭和28.10.7)には、その前年発効した日米行政協定で定められた、米軍関係者への刑事裁判権の運用上の指針などが、「合衆国軍隊の構成員又は軍属の公務の範囲について」(昭和31.4.11)には、通勤の往復の行為が、日本側に一次裁判権がないとされる公務にあたるかといった問題などが書かれている。

照屋氏は、真理・真実を知る権利は国民の基本的人権であるはずだとして、真理の追究は国会議員だけでなく、国民すべてに保障されなければならないと書いている。11日付の沖縄タイムスによると斎藤貴男氏も、国会図書館による対応を「ダブルスタンダードにより、国民を差別している」と表明している。

照屋氏は、6月に政府に対し、米軍関係者に対する一次裁判権に絡む質問主意書を提出し、一次裁判権がないとされる公務の範囲を指示した通達を出した理由などを質問したが、「通達を発出したかどうかを含め、・・・お答えすることは差し控えたい」と、とりつくしまもない対応をされていてた。


照屋氏は沖縄選出ということもあって沖縄密約の問題にとりわけ関心が高いと思われる。当ブログは、2006年10月、上智大学で開かれた「沖縄密約訴訟が問いかけるもの」という、西山太吉氏がパネリストを務めたシンポジウムで、照屋氏が西山氏に直接質問をしていたのを記憶している。


◇関連
日米行政協定(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定) 1952年(昭和27年) (データベース『世界と日本』)