沖縄密約をめぐって識者ら情報公開を請求 

なんと公開請求に着手した当日に、最高裁が沖縄密約訴訟を棄却(2)

識者らが請求の対象とした行政文書は以下の3つ。いずれも機密解除された米公文書によって、日本側との合意の存在に関わるもの。それぞれの所管官庁とみられる財務大臣外務大臣に公開請求を行った。

1.1969年12月2日付け、柏木雄介・大蔵財務官とアンソニー・ジューリック・アメリ財務省特別補佐官との「秘密合意議事録」
2.1971年6月12日付け、吉野文六・外務省アメリカ局長とスナイダー・駐日アメリカ公使との「400万ドル(軍用地復元補償)に関する「秘密合意書簡」
3.1971年6月11日付け、吉野文六・外務省アメリカ局長とスナイダー・駐日アメリカ公使との「1600万ドル在沖縄VOA施設の海外移転費用の秘密合意書簡」


会見で、原寿雄氏(ジャーナリスト)は、「西山氏が刑事裁判で有罪に終わってしまったことが、日本のジャーナリズム(のあり方)として問題だと感じていて、その延長線上で、情報公開をすることに決めた」「これは新しい知る権利の闘いの仕方であるし、西山さんの名誉を守る闘いでもある」と話した。

西山氏の刑事裁判を追った『密約』の著書のある澤地久枝氏(作家)は、「この国は独立国であり、主権在民の国であるはずです。国家が主であって国民が従である事態に、怒りを覚えます」と訴えた。

昨年、『沖縄密約』を上梓した西山太吉氏(ジャーナリスト)は、「沖縄密約の秘密文書について本質論を闘わせる機会が来たことを嬉しく思う」としたうえで、「今日、上告棄却が通告されたことは、この問題に関しては、行政と司法が一致しているということだ。この問題が、国家権力にとっては存立基盤に関わる問題だからだ」と述べた。

沖縄返還をめぐる情報公開請求では、「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子室長が、財務省に情報公開請求し、「不存在」を理由に不開示とされた例があるといわれる。

識者らの公開請求も「不存在」を理由に不開示とされる可能性があるため、その際は、不開示処分の取り消しを求める提訴も視野に入れ、今回の請求に当たっては、現時点で32名の弁護団(団長=清水英夫氏)が、請求者の代理人として名を連ねている。